この楽しき日々その2・ローラ・インガルス・ワイルダー/These Happy Golden Years・Laura Ingalls Wilder
月に1度、アメリカの児童文学作家、
ローラ・インガルス・ワイルダーの原作を読む会に行っています。
もうすぐ会の日なので、今日は1人で読み進めていました。
今は、
"この楽しき日々 These Happy Golden Yeares "
を読んでいます。
今日読んでいる箇所は、とても好きなところです。
教員免許をとったばかりの、
16歳のローラが、はじめて家を離れ、
機嫌の悪く仏頂面の奥さんのいる
居心地の悪い家に下宿し、
小さな学校で教える様子が描かれています。
生徒はたったの5人。
自分より年上の生徒にも”教師”として、教えなくてはなりません。
しかもローラは、身長がとても低く、
なめられないように、毅然と頑張っている様子が大変健気です。
ガース・ウィリアムズ氏の挿絵のおかげで
生徒の様子も生き生きとわかります。
(おもわず、誰が誰だかわかりやく名前を本に記入;)
その中で、1人、
ちょっと反抗的なクレランスがいます。ローラより年上。
少し慣れてきたある日、
生徒たちに、休み時間の雪合戦に一緒に加わってほしい、と言われ、
誘われたことがうれしく、
またもともと外で体を動かすのが好きなローラは、
生徒たちと一緒に、思いっきり楽しみます。
でも
クレランスが投げた玉が、思いっきりローラにあたり、
顔が雪だらけに。
謝るクレランス。
そして、
”Here , let me: stand still " he said.
He took hold of her shoulder as if she were Rudy. and wiped her face with the
end of her muffler "
「さ、ぼくにやらせてください。じっとしているんですよ。」と彼は言った。
彼はローラがまるでルビー(クレランスの妹)であるかのように肩をつかまえて、
彼女のマフラーの端で、ローラの顔をふいた。
ーこの楽しき日々 鈴木哲子 訳ー
このとき、ローラは気づきます。
もう生徒と遊ぶのとやめなくてはいけない、と。
「彼女は小柄すぎたり、年も若すぎた。
彼女がもし、この生徒たちと一緒に遊んだりしたら、
生徒をコントロールすることが、できなくなるだろう」
ーこの楽しき日々 鈴木 哲子 訳ー
そして、心配していた通り、
クレランスはちょっとした
台風の目になりつつありました。
授業中、マーサという女子生徒の
みつあみをつかんでいたずらするクレランス。
注意するローラにクレランスの笑みはこうでした。
He gave her a friendly grin that said as plainly as words,
" All right, if you say so: I don't have to "
彼が、ローラに、親しげな笑い顔を見せたがその笑顔は、
言葉にこそ出さなかったが、明らかに
「ハイハイ、きみがそういうならね。
何もそうしなければならないってわけでもないんですけどね」
といっていた。
ーこの楽しき日々 鈴木哲子 訳
クレランスの反抗的で生意気な、
ちょっといたずらで賭けにでている態度が
すごくよく出ているシーンで、すごく面白いし、
(そして同時にはらはらさせられるし)
鈴木哲子さんの翻訳が、ほんとうに上手だなあと思います。
このあと、最初の恐ろしい1週間を終え
週末を迎えるたローラには、
驚きのサプライズが訪れるのでした。
何度も読んで知っているのだけれど、
生き生きと無駄のない原文を読むのも
子供のころは、
ちょっと言葉古臭く、
(なにしろ44年前に訳されたものなので)
固く感じた鈴木哲子さんの翻訳も、
今あらためて読み返すと、
的確で無駄がなく、
ローラの文章を編集した、
作家であったローラの娘のローズの
文章のテンポに近いような気がしました。
出かける用事のない、
静かな秋の日曜日の楽しみです。